お見舞いの花そのものはタブーではありません。避けるのは「鉢植え」「香りの強い花」「花ごとポトリと落ちる花」。ここを外すと、良かれと思って贈った花が気まずさに変わります。近年は、感染対策を理由に生花の持ち込み自体を禁止している病院が増えています。花を選ぶ前に、まず病棟のルールを確認したほうが早いです。
お見舞いに花を贈ること自体はタブーなのか?
贈ること自体は、タブーではありません。ただし「何を選ぶか」を間違えると、相手だけでなく同室の患者や看護師にも負担をかけます。100軒以上の花屋をまわってきて、お見舞い用の花について具体的な断りルールを説明してくれた店は42軒でした。半数以上の店は特に何も言わずに希望どおりの花を包んでくれるので、店に任せきりにせず、こちらから「お見舞い用です」と伝える一言があるかどうかで結果が変わります。
入院した同僚に花を贈ろうとしたとき、店員から先に「病室ですか、それとも面会ロビーで渡しますか」と聞かれました。渡す場所によって選ぶ花が変わるというのは、その場で初めて知りました。
鉢植えがタブーとされるのはなぜか?
いちばん有名な注意点が、鉢植え。「根付く」が「寝付く(床につく期間が長引く)」に通じるという語呂合わせが理由で、縁起をかつぐ場面では今も避けられています。42軒の花屋のうち38軒が、お見舞い用と伝えた時点で鉢植えの提案を自主的に外しました。
理由を気にしない人も増えていますが、相手や相手の家族がどう受け取るかは分かりません。迷った場合は、根のない切り花か、退院後にそのまま持ち帰れるアレンジメントを選ぶほうが無難です。
避けたほうがいい花の種類は何か?
避けたほうがいい花は、花屋に聞いて回った限り、次の種類に絞られました。
- 花ごと落ちる花。椿や山茶花のように、花びらではなく花の首から丸ごとポトリと落ちる花は「首が落ちる」を連想させるとして、特に手術を控えた患者には避けられます
- 香りの強い花。ユリやフリージアなどは病室内の他の患者への配慮に加え、抗がん剤治療中で嗅覚が敏感になっている人には負担になることがあります。香りと花粉の少ない花の一覧は花を贈るときアレルギーや香りはどう配慮する?にまとめました
- 色や名前が縁起を連想させる花。シクラメンは「死」「苦」を思わせる語感から避けられ、菊は仏花・葬儀のイメージが強いため、選ばれることはほとんどありません
バラ・ガーベラ・スイートピーのように香りが控えめで、花びらが散る形で枯れていく花は、42軒すべての花屋がお見舞い用として提案してきました。迷ったらこの3種類から選べば、まず失敗しません。
病院に生花を持ち込めないケースはあるのか?
病院によっては、あります。ここが、花言葉のマナーよりも実務上は重要な確認事項です。感染対策を理由に、生花・鉢植えともに持ち込み自体を禁止している病棟が増えています。ICU、無菌室、化学療法中の血液内科病棟では、花に付着する土や水が感染源になりうるとして、ほぼ一律で断られます。
花屋の店員に聞いたところ、大きな病院では「花束お断り」の張り紙が面会受付に出ているケースも珍しくないそうです。贈る前に、本人か家族に病棟のルールを一言確認するだけで、渡せずに持ち帰る事態を避けられます。確認が難しいなら、次の見出しで触れるプリザーブドフラワーなど、花以外の形にしておくと安全です。
花屋に何を伝えれば失敗しないのか?
「お見舞い用です」と最初に伝えるだけ。この一言があれば、鉢植え・香りの強い花・首から落ちる花は、店側が自主的に候補から外してくれます。42軒中38軒がこの対応をしていました。
予算の伝え方や、水替えの手間がない花瓶不要タイプへの変更依頼など、店頭での具体的な言い回しは花屋での注文の伝え方にまとめています。「誰に・どんな場面で・どう持ち帰るか」さえ伝われば、お見舞いの場面でもそのまま使えます。
予算については、3,000円前後のアレンジメントを選ぶ人が多い印象でした。花束の中身がどう構成されているかは花束の原価を調べた記事で具体的な数字を書いています。
花以外の選択肢も検討すべきか?
持ち込み禁止の病院や、入院が長くて水替えが難しいケースでは、プリザーブドフラワーやアレンジメントタイプを選ぶ人が増えていて、水替えの手間がなく退院時にそのまま持ち帰れるのが理由です。
判断基準は、花を贈る場面全般と同じです。相手が受け取った後にどう動くかを想像できているかどうかです。この視点は花を贈るのは迷惑じゃない?という記事でも書きましたが、お見舞いの場面では特に強く効いてきます。渡した瞬間の見栄えより、その後の管理のしやすさを優先したほうが、結果的に喜ばれます。
「タブーを避けること」と「相手の負担を減らすこと」は、お見舞いに関してはほぼ同じ意味です。語呂合わせのマナーだけを気にするより、渡した後の相手の動きまで考えたほうが、結果として失礼のない贈り方になります。
よくある質問
赤い花はお見舞いに贈ってはいけませんか?
絶対にNGというわけではありませんが、血を連想させるとして手術後の患者には避けられる傾向があります。気になる場合はピンクや白を基調にし、差し色として少量だけ赤を入れる程度にとどめると無難です。
花瓶がない病室にはどう贈ればいいですか?
花屋に「病室用で花瓶がない」と伝えれば、給水材の入ったオアシスアレンジメントに変更してもらえます。水替えの手間がなく、そのまま置けるので、看護師や本人の負担になりません。
お見舞いの花はいつ贈るのが適切ですか?
入院直後の数日は検査や手術が集中し、花の世話をする余裕がないことが多いです。容体が落ち着いた頃、目安として入院から1週間前後を過ぎてから贈ると、負担なく受け取ってもらいやすくなります。
42軒、38軒という数字は、僕がまわった花屋のうち、お見舞い用の花について断りのルールを説明してくれた店と、鉢植えを候補から外した店を数えたものです。僕は花屋でもフローリストでもありません。書いたのは売る側の知識ではなく、買う側として贈り物を外してきた経験です。病院ごとの持ち込みルールは変わるため、実際に贈る前には本人か病棟に直接確認してください。



