花束は何日持つ?夏と冬で倍変わる日数と、その条件

使い込まれた木のテーブルの上の素焼きの花器に挿された白い花と、そばに置かれた花ばさみと切り落とされた茎

花束が持つ日数は、夏は3〜5日、春と秋は7〜10日、冬は10〜15日です。同じ値段の同じ花束でも、季節と扱いで倍以上変わります。日持ちは花束の値段で決まるのではなく、買ってからの条件で決まります。

花束は、結局何日持つのか?

市販の花束を水に活けた場合の目安は、室温でほぼ決まります。

置く場所の室温季節の目安日持ちの目安
20℃以上3〜5日
10〜20℃春・秋7〜10日
10℃以下10〜15日
——ラッピングのまま放置2〜3日

注目してほしいのは最後の行です。包装のまま飾ると、冬でも2〜3日で終わります。冬の15日の5分の1です。寿命を一番大きく削っているのは、花の品質でも値段でもなく「水に入っていない時間」です。

これまで100軒以上の花屋をまわり、100回以上花を買ってきました。7月に4,500円で買った花束は3日目にガーベラから崩れ、12月に同じ予算で買った花束は11日持ちました。花屋も予算も同じです。違うのは気温と、玄関に置いたか暖房の効いた部屋に置いたかだけです。

なぜ花屋は「何日持ちます」と言い切らないのか?

店頭で「何日くらい持ちますか」と聞くと、多くの花屋は「1週間くらいですかね」と曖昧に答えます。はぐらかされていると感じていましたが、花屋の友人に理由を聞きました。

「売ったあとの条件で倍変わるから、日数を言い切ると嘘になる」。これが答えでした。室温、水の量、水を替えるか、エアコンの風が当たるか。店を出た瞬間から、花屋が管理できない変数のほうが大きくなります。

日数を保証して売る試みは業界側にもあります。農林水産省は「日持ち保証販売」の実証事業を進めており、大田花き花の生活研究所が量販店の日持ち保証品を買い集めたところ、保証つきの花には例外なく切花栄養剤が添付されていたと報告しています。日数を約束するには、買った人の手元の条件まで揃える必要があるということです。

だから日持ちは、花屋に保証させるものではありません。贈る側と受け取る側が条件を作るものです。

花の種類で、日持ちはどれくらい違うのか?

同じ扱いでも、花そのもので3倍以上の差が出ます。

日持ちの目安扱いで気をつける点
蘭(デンファレ、シンビジウム)2〜4週間切り花で最も長い。水が少なくても耐える
菊・スプレーマム2週間前後最も丈夫。洋風の品種なら仏花に見えない
カーネーション2週間前後スプレー咲きは蕾が順に咲いて長い
トルコキキョウ2週間前後蕾が3つ以上付いたものを選ぶ
ユリ1〜2週間蕾の数で変わる。花粉は開いたら取る
ヒマワリ1週間前後水が濁りやすい。こまめに替える
バラ5〜7日見た目の豪華さに対して短い
ガーベラ・ダリア3〜5日茎が傷みやすく、花束の中で最初に落ちる

すれ違いが一つあります。贈り物で選ばれやすい花ほど、日持ちが短い。バラ、ガーベラ、ダリアは華やかですが、日数は下から3つです。逆に最も長い菊は「仏花に見える」と避けられます。

花束は一番短い花の寿命で終わります。2週間持つカーネーションが10本入っていても、3日で崩れたガーベラが2本混ざっていれば、4日目には「そろそろ捨てようか」と思われます。長く持たせたいなら、長い花を足すのではなく短い花を入れないほうが効きます。何にお金が乗っているかは花束の原価を全部調べた記事にまとめました。

贈る側が見落としている「渡すまでの時間」とは?

日持ちの話はほぼ「もらった後どうするか」で語られます。けれど贈る側が削っている日数のほうが大きいです。

送別会のために、当日の朝に花束を買ってオフィスへ持って行ったことがあります。渡したのは夜の会の最後。買ってから渡すまで、およそ9時間。そのあいだ花束はデスクの下にありました。帰りの電車も含めると、相手が水に活けるまで半日以上です。

贈る側の段取り失う日数の目安
店から直送/会場に届けてもらう0日
当日の夕方に受け取り、1〜2時間後に渡すほぼ0日
当日の朝に買い、夜に渡す(室内保管)1日前後
前日に買って自宅に置き、翌日渡す1〜2日
夏に屋外や車内で2時間以上持ち歩く2日以上

最悪は夏の車内です。駐車中の車内は50℃を超えます。数時間で致命的で、渡した翌日にはうなだれます。「花屋の質が悪かった」と思っていた何回かは、自分の段取りの問題でした。

対策は単純です。受け取り時刻を「渡す2時間前」に指定する。予約すれば花屋はその時間に合わせて作ります。会場に直接届けられるなら、それが一番確実です。遠方に配送する場合は、夏はクール便の使い方で結果が変わります。生花の配送は夏でも大丈夫?にまとめました。

もらった人が最初にやるべきことは何か?

上から効く順です。

  1. ラッピングを外す。これが最大の分岐点。包んだままだと2〜3日で終わる
  2. 茎の先を3cmほど斜めに切る。吸水面が増え、潰れた切り口をリセットできる
  3. 水は浅く入れる。切り口が10cm浸かれば十分。深いと茎が腐る
  4. 水に浸かる部分の葉を落とす。葉が水中で腐り、水が濁る原因になる
  5. 置き場所を決める。直射日光、エアコンの風、テレビや冷蔵庫の上(熱が出る)を避ける
  6. 水を替える。夏は毎日、冬は1〜2日おき。替えるときに1cmずつ切り戻す

6番だけ丁寧にやる人が多いのですが、順番は逆です。包装を外すだけで日数が3〜5倍になります。そのうえで水換えと切り戻しをすれば、さらに数日伸びます。

逆に、相手がこの手間をかけられない状況なら花束は向きません。入院中、引っ越し直前、小さい子どもがいる家。手入れを相手に丸投げしたときに、花は負担になります。この線引きは花を贈るのは迷惑じゃない?に整理しました。

延命剤は、本当に効くのか?

効きます。ただし「水換えの代わり」にはなりません。

切花延命剤(切花栄養剤)の中身は、ほぼ糖分・抗菌剤・界面活性剤の3つです。糖分が栄養になり、抗菌剤が水中の雑菌の増殖を抑え、界面活性剤が吸水を助けます。代表的な製品はクリザールで、花束を買うと小袋を付けてくれる店もあります。

注意点が2つあります。ひとつは希釈倍率。濃く入れれば長持ちするわけではなく、間違えると逆に花を傷めます。袋に書かれた水量を守ります。もうひとつは水換えをやめないこと。延命剤を入れても水は濁るので、数日に一度は替えます。延命剤は1袋数十円で、花屋で「2袋ください」と言えば出てきます。

日持ちする花束を、花屋にどう頼めばいいか?

花の名前を覚える必要はありません。伝えるのは4つです。

  1. 「長く持つものでお願いします」——これだけで短命な花が外れます
  2. 「渡すのは◯日の夜です」——開き具合を当日に合わせて作ってくれます
  3. 「受け取りは渡す2時間前に来ます」——持ち歩く時間を削れます
  4. 「延命剤を付けてください」——付けていない店でも頼めば出てきます

効くのは2番です。花屋は渡す日が分かると、その日に一番きれいになる開き具合で組みます。「いつ渡すか」を言わないまま買うのは、情報を半分渡さずに発注しているのと同じです。伝え方そのものは花屋で何を言えばいいか分からない人へにまとめています。

日持ちを最優先するなら、花束以外に何があるか?

もつ期間相手の手間
花束(切り花)3日〜2週間花瓶が必要。水換えが必要
アレンジメント(かご・器付き)1〜2週間花瓶が不要。水を足すだけ
鉢植え・観葉植物年単位水やりが続く。置き場所が要る
胡蝶蘭1〜2ヶ月水やりは週1回程度
ドライフラワー1〜2年ほぼ不要。ただし生花の華やかさはない
プリザーブドフラワー2〜5年不要。ケース入りなら飾るだけ

見落とされやすいのがアレンジメントです。器に吸水スポンジが入っており、花瓶を探さずに水を足すだけで1〜2週間持ちます。自宅以外で渡すなら(職場のカウンター、病室)、花束よりアレンジメントが確実です。

逆に、花束の短さは欠点だけではありません。終わりがあるから処分に困らない。鉢植えは枯らした罪悪感が残り、プリザーブドは捨てにくい。1週間で終わる花束は、相手に何も残しません。日持ちで選び方が変わる例は開店祝いの花の相場にも書いています。

よくある質問

花束を冷蔵庫に入れれば長持ちしますか?

家庭用の冷蔵庫は向きません。庫内が乾燥しすぎて花がしおれ、野菜や果物から出るエチレンガスでカーネーションなどは花弁が閉じたり落ちたりします。花屋の冷蔵ケースは湿度と温度を専用に管理しており、別物です。家では冷蔵庫ではなく夜のあいだ玄関や廊下など10℃前後の涼しい場所に移すほうが効きます。

もらった花束は、ラッピングを外したほうがいいですか?

外してください。日持ちに最も効く一手です。包装のまま飾ると2〜3日で終わりますが、外して水に活ければ春秋で7〜10日、冬なら10日以上になります。包装の中は通気がなく、茎が水に届いていない状態が続きます。見た目が惜しければ、外した包装紙だけ別に飾っておけば十分です。

日持ちする花だけで花束を作ってもらえますか?

できます。「長く持つ花だけでお願いします」と伝えれば、菊系・カーネーション・トルコキキョウ・蘭を中心に組んでくれます。ただし華やかさは落ちます。バラやダリアのような主役の花が、日持ちの短い側に集まっているためです。全部を長い花にするより、短命な花を1〜2本に留めるほうがバランスが取れます。


この記事は、100軒以上の花屋をまわり、100回以上花を買ってきた買い手の立場から書いています。僕は花屋でもフローリストでもありません。売る側ではなく、買う側として詰まってきた経験がもとになっています。