生花の配送は夏でも大丈夫?クール便を使うべき花と、使ってはいけない花

木の天板に置かれた蓋の開いた無地のクラフト紙の箱と、中で薄紙に包まれた数本の切り花

夏でも生花の配送は大丈夫です。ただし条件が2つあります。バラやカーネーションなど温帯の花はクール便(冷蔵0〜10℃)で送り、胡蝶蘭やデンファレなど熱帯の花は冷蔵に入れないこと。そして傷む原因の多くは輸送中ではなく、不在で箱のまま待たされる時間です。

夏に生花を配送しても、本当に大丈夫なのか?

届け方によって、夏のリスクははっきり分かれます。

届け方夏のリスク理由
近くの花屋が作って手渡し低い作ってから届くまで数時間。箱に閉じ込めない
宅配便+クール便(冷蔵)低い〜中輸送中は0〜10℃。ただし熱帯の花は傷む
宅配便(常温)高い翌日以降の到着。箱の中は外気より熱がこもる
どの方法でも「不在→再配達」最も高い箱のまま半日〜数日。水に入っていない時間が延びる

花屋の友人に「夏の配送で一番怖いのは何か」と聞いたとき、返ってきたのは温度ではありませんでした。「届いた日に受け取ってもらえないこと」です。輸送の仕組みは夏向けに整っていても、受け取りの段取りまでは花屋が管理できません。

クール便は、何℃で運んでくれるのか?

「クール便なら冷やしてくれる」と思っていましたが、実際に運送会社の公式情報を調べると少し違いました。

項目ヤマト運輸 クール宅急便(冷蔵)
温度帯0〜10℃
上限120サイズ(3辺合計120cm)・15kgまで
通常運賃への加算60サイズ275円/80サイズ330円/100サイズ440円/120サイズ715円
不在時の保管最初の不在連絡票の日を含めて3日間。コンビニ受け取り不可

見落としやすいのは、ヤマト運輸が「温度を保つための設備で、冷やす機能はない」と明記している点です。つまり、発送前に花が冷えていなければ意味が薄れます。花屋が冷蔵ケースから出してすぐ梱包する理由はここにあります。日本郵便のチルドゆうパック、佐川急便の飛脚クール便も冷蔵の温度帯で運ぶ仕組みは同じです。

クール料金は数百円ですが、花の通販では送料と合わせて1,000円前後が別途かかることが多いです。花束の値段に何が含まれているかは花束の原価を全部調べた記事に書きました。

クール便に入れていい花、入れてはいけない花は?

ここがこの記事で一番伝えたいところです。冷やせば冷やすほどいい、は間違いです。

切り花の流通現場向けの品質管理マニュアル(新花き生産流通システム研究会)では、保管温度の目安を温帯性の品目は10℃以下、熱帯・亜熱帯性の品目は10〜15℃と分けています。熱帯の花を10℃より下に置くと、花びらが透けたように変色したり、黒ずんだりする「低温障害」が起きます。

分類主な花夏の配送
温帯性バラ、カーネーション、トルコキキョウ、ユリ、菊、スイートピークール便(冷蔵)が向く
温帯性だが暑さに特に弱いガーベラ、ダリア、アジサイクール便でも日持ちは短め。避けるのが無難
熱帯・亜熱帯性胡蝶蘭、デンファレ、アンスリウム、ジンジャー、ストレリチア冷蔵に入れない。常温で最短日数の配送
鉢物の熱帯植物胡蝶蘭の鉢、観葉植物常温。むしろ冬の寒さのほうが危ない

意外なのは胡蝶蘭が「夏に強い花」だという点です。デンファレは18℃以上が理想で、10℃を下回ると傷みます。夏の開店祝いで胡蝶蘭が定番なのは、見栄えだけでなく季節との相性もあるわけです。逆に真冬の配送では、胡蝶蘭のほうに保温が必要になります。

花屋に「直送はできません」と言われるのはなぜか?

100軒以上の花屋をまわる中で、遠方の相手に送りたいと相談して「うちは直送はやっていないんです」と断られたことがあります。そのときは商売っ気がないのかと思いました。

花屋の友人に聞くと、理由は手間より責任の範囲でした。宅配便に預けた瞬間から、箱の向き、振動、温度、受け取りの時刻は店の手を離れます。水を含ませた資材で茎を包み、箱の中で花が動かないよう固定し、夏は保冷の手配までする。それでも届いた花がしおれていれば、苦情は店に来ます。「自分の目で渡せない花は売らない」という店があるのは、品質を守るための判断です。

断られたら、店を責めるより「では、届け先の近くで作ってもらう方法はありますか」と聞き直すのが早いです。店頭での聞き方は花屋で何を言えばいいか分からない人へにまとめています。

花屋の手渡し配達と宅配便、夏はどちらを選ぶべきか?

「花を遠くに届ける」方法は、実は2種類あります。

花屋ネットワークの手渡し通販の宅配便
仕組み届け先の近くの花屋が作り、自分の店から届ける産地や倉庫で箱詰めし、運送会社が運ぶ
代表例花キューピット(全国約4,100店)大手の花ギフト通販各社
届くまで最短で当日翌日以降が中心
花束・アレンジメントのまま箱に入った状態
夏に強いのはこちらクール便を選べば可

夏に限れば、作ってから届くまでの時間が短い手渡し配達のほうが有利です。一方、宅配便は価格が比較的明確で、デザインを写真どおり選べる強みがあります。通販を選ぶなら、商品ページで「クール便でのお届け」「夏季は保冷対応」と書かれているかを必ず確認します。

夏の配送で、花が一番傷むのはどこか?

届け先の玄関先です。輸送中の温度管理がどれほど完璧でも、次の3つで台無しになります。

  1. 不在で持ち戻り。再配達まで箱のまま。クール宅急便でも保管は3日間が上限
  2. 置き配・宅配ボックス。夏の直射日光が当たる玄関先の箱は、中の温度が一気に上がる
  3. 受け取ったあと箱のまま放置。「夜に開けよう」の数時間が効く

対策は贈る側でしかできません。相手に「◯日の午前に花が届く」と一言伝えておくこと。サプライズにしたい気持ちは分かりますが、夏は受け取れる日時を確かめるほうが花のためになります。どうしても伏せたいなら、同居の家族に日時だけ伝える方法もあります。

届いた花がしおれていたら、どうすればいいか?

慌てて捨てる前に、次の順で手を入れると戻ることが多いです。

  1. すぐ箱から出し、包装を外す
  2. バケツなどに水を張り、水の中で茎を2〜3cm斜めに切る(切り口から空気が入るのを防ぐ)
  3. 深めの水に1〜2時間浸け、エアコンの効いた涼しい場所に置く
  4. 戻ったら浅い水の花瓶に移す

2時間たっても首が上がらない、花びらが茶色く変色している場合は、到着したその日のうちに写真を撮って販売店に連絡します。多くの通販では到着当日〜翌日までの連絡を条件にしています。夏の日持ちの目安と、もらったあとの扱いは花束は何日持つ?に詳しく書きました。

夏に配送で贈るなら、何を選べば外さないか?

選び方を3つに絞ります。

  • 花束よりアレンジメント。吸水スポンジに挿してあるので、輸送中も水が切れにくく、届いてすぐ飾れる
  • ガーベラ・ダリア中心は避ける。夏の室温では3〜5日で落ちる。トルコキキョウやヒマワリ、グリーンを多めに
  • 受け取りの確実な日を選ぶ。記念日当日にこだわるより、確実に家にいる前日の午前のほうが花はきれい

「夏に花を送るのは迷惑では」と迷うなら、答えは花の種類よりも受け取りの負担で決まります。相手が確実に受け取れる日を一緒に選べるなら、夏でも花は十分に喜ばれる贈り物です。

よくある質問

夏に胡蝶蘭を配送で贈っても大丈夫ですか?

大丈夫です。胡蝶蘭は熱帯の花で暑さには比較的強く、夏よりも冬の寒さのほうが危険です。注意点は逆で、クール便(冷蔵)に入れないこと。10℃を下回ると花や葉が傷む低温障害が起きます。常温で、できるだけ到着日数の短い方法を選び、直射日光の当たる置き配は避けてください。

花をクール便で送ると、料金はいくら上乗せされますか?

ヤマト運輸のクール宅急便の場合、通常の運賃に60サイズで275円、80サイズで330円、100サイズで440円、120サイズで715円が加算されます(上限は120サイズ・15kg)。花の通販では送料とクール料金を合わせて1,000円前後を別途請求されることが多いので、商品価格だけで比べないようにします。

夏に宅配ボックスや置き配で花を受け取っても平気ですか?

おすすめしません。直射日光の当たる玄関先の宅配ボックスは、夏は短時間でも中が高温になり、箱の中の花は数時間で傷みます。対面で受け取れる日時を指定するのが基本です。クール宅急便は温度を保てないためコンビニでの受け取りもできません。受け取れない場合は営業所での受け取りを依頼します。


この記事は、100軒以上の花屋をまわり、100回以上花を買ってきた買い手の立場から書いています。僕は花屋でもフローリストでもありません。売る側ではなく、買う側として詰まってきた経験がもとになっています。運送会社の温度帯・料金・保管期間は2026年9月時点の公式情報をもとにしています。変更されることがあるので、発送前に各社のサイトで確認してください。