上司の退職祝いに贈る花で失礼にならないための基準は3つです。①個人なら5,000〜10,000円 ②派手な色より落ち着いた色を選ぶ ③本人の好みが分からなければ「職場に馴染むか」を優先する。失礼になるかどうかは、金額より色と花材の選び方で決まります。
なぜ上司への花選びは失礼を気にしてしまうのか?
これまで100軒以上の花屋を回り、100回以上花を買ってきました。上司クラスの退職祝いも何度か注文しています。同僚への花束と違い、上司への花束は「目上の人に贈る」という緊張が最初から乗っているぶん、必要以上に迷いやすくなります。
ただ、何度か注文して分かったのは、迷いの大半は「失礼かどうか」ではなく「判断の基準を持っていないこと」から来ているということでした。花屋で「上司の退職祝いで」と伝えると、聞かれることはほぼ決まっています。予算、渡す場面、持ち帰りの有無。この3つに答えられれば、あとは店側が形にしてくれます。
金額の基準は退職の花束の相場にまとめた通りですが、上司の場合はそこに「色」と「花材」という、金額以外の判断が加わります。ここで迷う人が多い、というのが実感です。
上司の退職祝い、相場はいくらが基準か?
| 贈り方 | 目安 |
|---|---|
| 個人で贈る | 5,000〜10,000円 |
| 数人でまとめる(3〜5人) | 1人1,000〜2,000円 |
| 部署全体の連名 | 1人500〜1,000円 |
同僚どうしより一段上げるのが一般的ですが、8,000円を10,000円にしても受け取る側の印象はほとんど変わりません。金額を積むより、次に書く色と花材のほうが失礼の有無を左右します。
実感として、金額が見た目に効くのは5,000円までです。3,000円と5,000円ではボリュームがはっきり変わりますが、8,000円と10,000円の差は、花材が少し高いものに替わるか本数が数本増えるかで、並べて比べない限り分かりません。花束の原価の内訳を調べたときも同じでした。予算を上げるより、渡す場面に合ったサイズを選ぶほうが効きます。
連名で集める場合は、金額そのものより「誰まで声をかけるか」で先に詰まりがちです。人数の決め方と集金の目安は送別会の花束の予算と人数に分けて書いています。
色や花材で失礼になることはあるか?
実際に花屋に聞いたところ、上司への退職祝いで避けたほうがいいものは主に2つでした。
- 菊を主役にした花束:仏事のイメージが強く、退職祝いには不向き。花材として少量入る分には問題ありません
- 真っ赤なバラだけで組んだ花束:本数が多いと恋愛的な印象が強くなりすぎ、職場の贈り物としては浮きます
逆に無難で失敗しにくいのは、白・淡いピンク・グリーンでまとめた花束です。派手さより清潔感が出るので、性別や年代を問わず受け取りやすくなります。色を1色に絞らず、白を軸に差し色を1〜2色加えるくらいがちょうどいいバランスでした。
具体的な花材まで指定する必要はありませんが、実際に「白を軸に」と伝えて組んでもらうと、トルコキキョウ、スプレーバラ、カスミソウ、ユーカリあたりが入ってくることが多い印象です。いずれも主張が強すぎず、日持ちも比較的いいので、退職祝いには扱いやすい組み合わせでした。花材を自分で指名するより、「白を軸に、派手すぎない色で」と伝えて任せるほうが、結果として収まりがよくなります。
本人の好みが分からないとき、どう選べばいいか?
好みで選ぼうとすると、上司の場合は情報がなさすぎて動けなくなります。そういうときは「本人の好み」ではなく「職場のデスクや玄関に馴染むか」で考えると選びやすくなります。派手な花より、飾りやすい花のほうが結果的に喜ばれます。
上司との距離が近ければ、本人の服装や持ち物の色を思い出すのも手ですが、そこまで分からないことのほうが多いはずです。相手の好みが分からないときの考え方にも書きましたが、情報がないなら好みを当てにいかず、「外さない側」に寄せるのが正解です。上司への花束では、それが白を軸にした落ち着いた色の花束にあたります。
花屋への伝え方は、退職祝いに限らず花屋での注文の伝え方と同じ考え方で足ります。「上司の退職祝いで、派手すぎない色でお願いします」の一言を添えるだけで、店側が調整してくれます。
メッセージカードは必要か?
上司への花束では、花そのものより一言メッセージの有無のほうが記憶に残ります。長い文章である必要はなく、「お世話になりました」の一行で十分です。花屋の店頭には無料のメッセージカードを用意している店が多く、注文時に頼めばその場で付けてもらえます。
文面で迷うなら、次の3つのどれかで足ります。凝った言い回しを探すより、短く言い切ったほうが読みやすくなります。
- 「長い間お世話になりました。ありがとうございました。」——最も無難で、誰に対しても使えます
- 「〇〇の件では大変助けていただきました。ありがとうございました。」——具体的な出来事を1つ入れると、定型文から抜けます
- 「新しい生活も応援しています。お体にお気をつけて。」——定年退職や転職など、次がある見送りに向きます
連名で贈る場合は、カードに部署名を書くか、全員の名前を書くかで迷うところです。人数が5人を超えるなら「〇〇部一同」でまとめたほうが読みやすく、それ以下なら個人名を並べたほうが気持ちが伝わります。名前を入れ忘れるのが一番もったいないので、渡す前に一度だけ確認しておくと安心です。
いつ渡すのがいいか?
送別会の会場で渡すか、最終出社日に職場で渡すか、迷う人が多いところです。実際にやってみて分かったのは、大人数の前で渡すか、少人数で静かに渡すかによって、選ぶ花束のサイズを変えたほうがいいということでした。
送別会のような人前で渡す場面は、多少大きめでも見栄えが優先されます。一方、最終出社日にデスクでそっと渡すような場面では、大きな花束はかえって周囲の目を集めてしまいます。渡す場面が決まっていないなら、先にどちらで渡すかを決めてから花屋に相談したほうが、サイズで迷わずに済みます。
もう一つ、渡すタイミングを職場の慣習に合わせる視点もあります。部署によっては「最後の挨拶のときに渡す」流れが決まっている場合もあるので、迷ったら総務や幹事役に一言確認しておくと、当日の段取りで慌てずに済みます。
渡したあとの持ち帰りまで考えているか?
見落とされがちですが、失礼になるかどうかより実害が出やすいのはここです。上司は花束を持って帰ります。電車通勤なら、両手がふさがる大きさの花束は、混雑した車内でかなりの負担になります。送別会のあとに二次会が続く場合は、置き場所にも困ります。
実際に花屋で相談すると、「持ち帰りはありますか」と聞かれることがよくあります。店側が持ち運びを前提にラッピングや形を変えているからです。抱えるタイプにするか片手で持てる縦長にするかで、当日の負担はかなり変わります。注文時に「電車で持ち帰ります」と一言添えるだけで足ります。暑い時期なら、あわせて保水も頼んでおくと安心です。
同じ理由で、ユリのように香りの強い花も持ち帰りの場面では負担になることがあります。花束は渡した瞬間で終わりではなく、上司が家に持ち帰って飾るところまで含めて贈り物になります。そこまで想像して選んだ花束は、金額の大小に関係なく印象に残ります。
よくある質問
上司への花束は個人と連名、どちらがいいですか?
特にお世話になった場合は個人で、部署全体で見送る場合は連名で、という使い分けが一般的です。両方を用意する必要はなく、どちらか一方で十分気持ちは伝わります。迷ったときは、金額を積み増すより、渡すときの一言メッセージのほうに時間をかけたほうが、結果として印象に残ります。
忌み言葉や色で避けたほうがいいものはありますか?
花そのものに厳密な忌み言葉のルールはありませんが、菊を主役にした花束と、恋愛的に見えるほど本数の多い赤いバラの2つは避けたほうが無難です。色は白を軸にすると失敗しにくくなります。香りの強い花は、持ち帰りの場面によっては負担になることがあるので、そこだけ気にしておけば十分です。
本数に決まりはありますか?
厳密な決まりはありません。予算とサイズから逆算して花屋に組んでもらう形で問題なく、本数そのものより色のバランスのほうが印象を左右します。奇数本にこだわる人もいますが、実際に花屋で聞く限り、花束の場合は偶数・奇数どちらでも気にされていません。本数の縛りより、店側に予算と用途をきちんと伝えることのほうが結果を左右します。
この記事は、100軒以上の花屋を回り、100回以上花を買ってきた買い手の立場から書いています。僕は花屋でもフローリストでもありません。売る側ではなく、買う側として詰まってきた経験がもとになっています。
